「ふるさと松山学」教材を活用した実践紹介 パート3

2023年3月31日 11時45分

 前回に引き続き、各学校の「ふるさと松山学」教材を活用した実践を紹介します。
 第3回は、「語り継ぎたい ふるさと松山 百話」を使った取組です。

 この教材は、松山にゆかりのある先人の逸話と、松山に伝わる心温まる史話をまとめたもので、通称「先人伝」と呼ばれています。各学校には、児童生徒数に応じて、約40冊程度図書館に配架しており、社会科や総合的な学習の時間等で活用されています。  

 そして、平成30年10月に、先人伝7冊の内容を1冊にまとめて紹介するとともに、家庭で家族と一緒に楽しく学べるように、「広がれ!ふるさと松山の心」を発行しました。この本は、小学5年生から中学3年生までの児童生徒に配付しています。また、学校教育の枠を超え、市民や全国の方たちにも、先人の生き方、松山のよさや魅力を広く知ってもらいたいという思いから一般販売も行っています。それでは、授業実践を二つ御紹介します。
 一つ目は、松山市立日浦中学校での実践です。日浦中学校3年生は、総合的な学習の時間で「わたしのふるさと紹介」をしています。「広がれ!ふるさと松山の心」に掲載されている「ふるさと松山学MAP」を用いて、地域に残る句碑や銅像の場所を確認し、先人伝やインターネットを活用し、その句碑や銅像のゆかりの人物について調べ学習を行いました。そして、調べたことを学級で紹介し合い、さらに、日浦校区にある句碑を確認しました。


 授業後の生徒たちの感想では、「僕の家のまわりには、正岡子規や夏目漱石の句碑がたくさんありました。今までただ通り過ぎるだけだったけど、どうしてその場所に句碑が置かれているのか、その場所がどういったところだったのかを知ることができて歴史を感じました。」「9年間の日浦の学びの中で、初めて校区内に句碑があることを知りました。日浦校区は松山の中心部から離れているけれど、夏目漱石と何かゆかりがあるのか、調べてみたいです。」「自分の住んでいる地域だけでなく、友達の住んでいる地域のゆかりの人物について知ることができ、興味深かったです。卒業して高校生になるともっと活動範囲が広がるので、句碑や銅像を探してみたいです。」との意見があったようです。
 二つ目は、松山市立東中学校での実践です。東中学校2年生の英語科の授業では、「広がれ!ふるさと松山の心」等をもとに作られたオリジナルの読み物英語教材を使っています。この教材には、日露戦争や、松山に全国で初めて設置された捕虜収容所など、歴史的事実とともに、戦時中においても敵国の兵士に対して思いやりの心で手厚くもてなした松山の人々のことについて記されています。生徒たちは、教材に書かれた英文を読解し、考えたことや感じたことを伝え合ったり、質問づくりをしたりして、松山に受け継がれる思いやりの心や平和への願いについて考えました。


 授業後の生徒たちの感想では、「松山で行われたことを題材にした英語の授業は、他の教材を使うよりも分かりやすかった。今後もこういった、地元のことを題材にした英語の授業を受けてみたいと思った。」「戦争中も戦争が終わった後も思いやりの心をもって、接することが大切だと思った。」「日露戦争のときの松山のことはあまり知らなかったけど、ロシア兵と松山の人の関係を聞いて松山の人の優しさを改めて知ることができた。」「英語と同時に松山の勉強もすることができたのでとてもよかった。とても楽しかった。」「愛媛の人たちがロシアの兵士に対して優しくしていたことを知って感動した。僕もそんな人間になりたいと思った。」との意見があったようです。
 これらの実践について、市内教職員の皆さんは、「ecまつやま」にもアップしていますので、是非御覧ください。
 3回にわたって実践を紹介しました。このように各校で、各教科等の授業を通して教材を活用していただき、自校のふるさと教育を進めていただいています。今後も、「ふるさと松山学」教材を積極的に活用していただき、子どもたちに郷土への愛着や誇り、将来への志を育んでいっていただければと思います。

1人1台端末移設に向けて

2023年3月30日 09時54分

 現在、まつラボでは、新年度に向けて1人1台端末の移設に向けた作業を行っています。
 各学校の令和4年度と令和5年度の児童生徒数が異なるため、余剰分を回収し、令和5年度に必要な学校へ配布します。そのためには、初期化したり、きれいに清掃したり、シールを張り替えたりする作業が必要です。中学校からは約200台!小学校からは約500台!がセンターに集まってきています
 この作業を担ってくれているのは、ICT支援員さんです。普段は学校を訪問し、授業や教材作成、機器設定や不具合対応などのサポートをしているICT支援員さんですが、年度末・年度始のこの期間は、毎日10人ほどがまつラボにやってきて、この作業を行っています。1人1台端末を安定して活用していくには、ICT支援員さんは必要不可欠なのです。

 ひたすら続く移設に向けた作業ですが、松山の子どもたちが喜ぶ顔を思い浮かべながら、丁寧に新年度の準備を進めています!

「ふるさと松山学」教材を活用した実践紹介 パート2

2023年3月28日 08時43分

 前回に引き続き、「ふるさと松山学」教材を活用した実践を紹介します。

 今回は、「子規と俳句に関する教材」を使った実践です。

 この教材は、全3巻で、小学校1年生、4年生、中学校1年生の子どもたちに配付しています。正岡子規をキャラクター化した「のぼさん」が解説をしていくので、「のぼさんの本」と呼ばれ、俳句作りの授業等で活用されています。それでは、授業実践を二つ紹介します。

 一つ目は、松山市立生石小学校での実践です。生石小学校4年生は「のぼさんと学ぶ俳句と言葉②」を読み、歳時記と二十四節季、季語について学習、俳句作りを経て、句会を楽しみました。また、社会科「残したいもの伝えたいもの」の単元において、「のぼさんと学ぶ俳句と言葉②」の「第12章 松山はええよ~故郷を思う俳句~」の中の「のぼさんが語る道後温泉伝説」を読み、道後温泉の歴史の調べ学習に活用しました。

 授業後の子どもたちの感想では、「気に入った一句と、その理由を伝え合う活動では、同じ作品でも読む人によって感じ方が違っていたり、よいと思う理由が違っていたりして、俳句の面白さや奥深さを感じ取ることができた。」「松山の偉人、正岡子規を身近に感じることができた」との意見があったようです。

 実践された先生は、今後も児童の実態に合わせ、活動を工夫しながら、俳句を取り入れた授業に取り組みたいと決意を新たにされていました。

 二つ目は、松山市立味生第二小学校での実践です。味生第二小学校特別支援学級2年生は、年間を通して「のぼさんと学ぶ俳句とことば①」を活用しながら俳句に親しみました。その中で、俳句作りに取り組み、句会を秋と冬の2回行いました。

 授業後の児童たちの感想では、「見付けたものをそのまま言葉にすると俳句ができた。」「次は冬の俳句を作ってみたいな。」との意見があったようです。

 実践された先生は、子規の俳句に対して「言葉が難しくて分かりづらい。」という感想から、今後は、発達段階に合わせた俳句に親しむ機会もつくっていきたいと決意を新たにされていました。

 これらの実践について、市内教職員の皆さんは、「ecまつやま」にもアップしていますので、是非御覧ください。

 今後も「ふるさと松山学」教材を活用した実践を紹介していきます。

 お楽しみに!

令和5年度に向けて

2023年3月24日 09時40分

 本日は終業式。明日から春休みに入り、先生方は年度の締めくくりに追われていることと思います。

 まつラボも同様でありますが、同時に、来年度の研修をはじめ、様々な事業がスムーズにスタートできるよう準備を進めています。

 経験研修等の研修の手引も推敲を重ね、現在印刷機をフル稼働しながら作成しているところです。

 年度内には各学校にお届けできるよう準備していますので、お待ちください。

 

「ふるさと松山学」教材を活用した実践紹介

2023年3月20日 14時16分

 市内各学校では、豊かな心や郷土愛を育むために「ふるさと松山学」を推進しています。今回から何回かに分けて、具体的な取組を紹介します。
 第1回は、今年度新たに作成したデジタル教材「SDGsと松山の先人たち」を使った取組です。この教材は、「広がれ!ふるさと松山の心」に掲載している先人の功績を、同じく本市が推進しているSDGsの視点で再構成したものです。それでは、松山西中学校で行われた総合的な学習の時間の授業実践を御紹介します。
 西中学校3年生は、総合的な学習の時間でSDGsの学習をしています。学習の中で、「持続可能な世界」の実現に向けたSDGsへの取組として、自分たちにできることを提言しました。そのまとめとして、「SDGsと松山の先人たち」を活用し、先人たちの残した様々な功績をSDGsの観点から捉えました。これにより、自分たちが考えた「持続可能な世界」の実現に向けた提言がより身近なものとなったようです。


 授業後の子どもたちの感想からは、「SDGsは特別な取組ではなく、より良い社会にしたいという思いが17の達成目標につながっていくのだと感じた。」「先人たちの功績を見て、自分にできることを少しずつでもやっていきたいと思った。」「リーフレット版で見ると、SDGsの17の達成目標別に先人たちの功績(取組)の内容が確認できるので見やすかった。」との意見があったようです。実践された先生は、今後も自分たちの故郷について学ぶ機会を様々な場面で取り入れるとともに、松山の先人たちから学び、その思いを受け継ぐ郷土愛を育む教育をさらに推進していきたいと決意を新たにされていました。
 この実践について、市内教職員の皆さんは、「ecまつやま」にもアップしていますので、是非御覧ください。
 今後も「ふるさと松山学」教材を活用した実践を紹介していきます。
 お楽しみに!

春はすぐそこ

2023年3月16日 09時42分

 日中はずいぶん暖かくなりました。

 まつラボ西側の椿やトキワマンサクも花が咲いています。

 まつラボにも春が近付いてきました。

 これから卒業や入学のシーズンですね。

 思い出に残る別れや素敵な出会いになりますように。

おもしろ理科出前教室~星で作られる元素たち~

2023年3月16日 08時20分

 3月14日(火)、勝山中学校にて3年生を対象に「おもしろ理科出前教室」を実施しました。

 講師は、久万高原天体観測館の藤田 康英先生です。

 今回は、体育館で学年全体が一斉に集まっての教室です。宇宙の誕生から、銀河、太陽、地球といった星の誕生と死についてお話がありました。生徒は、何百億個という星や銀河の数、何百億年という時間の長さ、スケールの大きさに圧倒されているようでした。

 

  また、宇宙で星が死ぬときに多くの元素ができてばらまかれ、その元素が私たち生命の体を作るもとになっているとのことでした。

 宇宙の話は非常に壮大で私たちの想像を超えるものですが、元素ができた元をたどると、星の爆発であるという話を聞き、グッと身近なものとして考えることができていたようです。ケイ素(シリコン)が超新星爆発からできることを知り、これがコンピュータの半導体に使われていることにつながっているとのことでした。最後に本物のシリコンを見て触らせていただく体験もできました。

  

 今年度のおもしろ理科出前教室は本教室が最後でした。1年間、学校の授業だけでは得られないたくさんの学びがあったことと思います。講師をしてくださった先生方、授業を受け入れ調整してくださった各学校の先生方、ありがとうございました。

 次年度も開催予定ですので、ぜひ松山市の児童生徒のために、おもしろ理科出前教室を御活用ください。

課題別実践力向上セミナー(ICT活用)~4月からの授業もこれで安心!~

2023年3月15日 08時00分

 3月10日(金)夕方から課題別実践力向上セミナーを開催しました。

 今回の研修は、「タブレット活用基礎のキソ」第3弾。管理職の先生方や4月から再任用として勤務をされる先生方にも御参加いただきました。金曜日の夜にもかかわらず、10人以上の先生方が参加され、子どもたちのためにICTを活用しようという熱い思いをもたれています。

 「タブレットを授業でどう活用したらいいの?」と心配している方も、同じような立場の方と一緒に、気軽に質問をしつつ演習しながら研修をすることができました。

  まず、ロイロノートの基本的な使い方から研修を始めました。

 ロイロノートの教師側での操作、写真を撮る、書き込む、つなぐ、送るなどの授業で活用する機能を、実際に操作体験しながら学んでいきました。

 

 その後、ペアになって実際に問題を送信し、答えてもらうなどの模擬授業的なやり取りと、試行錯誤してみながら質問をしていく活動の時間をとりました。

  後半は、Microsoftアカウントを使った、主にOneDriveの活用方法と注意点など、校務の情報化についての演習を行いました。

 

  4月からすぐに使える基本操作を学ぶことができ、皆さん手ごたえを感じられているようでした。

 今回のようなタブレット活用の基礎講座は、来年度も4月と5月に予定しています。繰り返し参加していただいても、得られることがあると思います。少しでも不安に感じられている方は、ぜひ御参加ください!

おもしろ理科出前教室「植物にふれる楽しさ」

2023年3月13日 13時15分

 3月10日(金)に荏原小学校でおもしろ理科出前教室を実施しました。

 「植物にふれる楽しさ、すばらしさを感じよう」をテーマに、東雲短期大学 松井 宏光 先生をお招きして、校内に生えている草花を中心に観察しました。

 子どもたちはクイズに答えたり、指令に従って植物を探し回ったりしました。その後松井先生が、見付けた多くの植物の特徴を分かりやすく解説してくださいました。

  

 教室に戻ってから、子どもたちが見付けた植物を台紙に丁寧に貼り付け、覚えた名前を書き足していきました。この後乾燥させると、ずっと残る植物標本になるそうです。

 

 最後には、「地球の美しさと神秘を感じ取れる人は、科学者であろうとなかろうと、人生に飽きて疲れたり、孤独で苦しめられたりすることは決してないでしょう。」という、レイチェル・カーソンの言葉を紹介していただきました。

  今日の教室を体験した子どもたちは、身の周りに当たり前にある小さな植物に目を向けて、楽しむことができるようになったのではないでしょうか。

おもしろ理科出前教室 愛媛の岩石で岩石博士になろう

2023年3月9日 12時56分

 3月9日(木)、城西中学校にて1年生を対象に「おもしろ理科出前教室」を実施しました。

 講師は、鉱物の専門家、愛媛大学 佐野先生と大学院生の皆さんです。

 まずは、佐野先生から、地球にねむる岩石というものについてお話がありました。
 初めに一つの石を見せていただき、何名か希望者が触って観察してみます。何の変哲もない石のようですが、実はこれは「隕石」でした。この小さな石の中に1%ほどの水分などがあり、たくさんの地球誕生までの手がかりが含まれているそうです。
 次に、こぶし大の石を、全員が触りながら観察します。これは、「エクロジャイト」と言われ、日本でも愛媛でしか見ることができないとても貴重な岩石です。

 

 

 石に興味をもち始めた子どもたち。次は、全員が自分の岩石標本づくりを行います。
 土台となる岩石名が書かれた板に、サンプルの岩石を貼り付けます。学習した岩石の実物を含め、愛媛でとれる貴重な岩石の特徴を理解し、見分けながら自分だけの岩石標本を作ることができ、子どもたちは大変満足そう。
  

 

 最後に、岩石が結晶化して成長するという、まさにその瞬間を見ることができる、観察実験を行いました。

 ハイポを使ったプレパラートを熱し、偏光シートを顕微鏡に取り付けた顕微鏡を使って観察すると、「おおー、すごい!」と歓喜の声が!結晶が剣状にどんどん伸びていく様子を見ることで、岩石が長い年月をかけて作られる様を実感的に捉えることができたようです。

  

 中学校1年生で学習する「岩石」について、本物の岩石を触りながら体験的に学習する大変貴重な教室でした。今回の教室をきっかけに、岩石に興味をもって、地球創造のロマンを感じながら学んでいってほしいと思います。